こんにちは。
ブログをご覧いただきありがとうございます。
Miryです。
今回は、簿記2級を学習中の立場から、個人的につまづいた箇所を噛み砕いて解説したいと思います。
解説することで、自分自身の理解度もアップするし、同じようにつまづいた方の理解にも繋がるはず。
正解は各々が持っているテキストに書いてあるので、その正解にたどり着くための考え方を、噛み砕いていこうと思います!
今回のテーマは、「裏書譲渡した手形の不渡りが発生した場合の仕訳」について。
念のため、「裏書譲渡」と「不渡り」の意味や仕訳方法をおさらいしてから、本題に入ります。
そこの説明が不要な方は、目次から「裏書譲渡した手形の不渡りが発生した場合の仕訳は?」に飛んでお読みください!
手形の裏書譲渡とは?
まず、「手形の裏書譲渡」について説明します。
約束手形を持っている人は、その手形をほかの人に渡すことによって、仕入代金や買掛金を支払うことができます。
持っている手形をほかの人に渡すときに、手形の裏面に名前や日付を記入するため、これを手形の裏書譲渡といいます。
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第13版
例えば、「A社から支払われる予定の受取手形100円」を持っていて、「B社に100円支払わなければいけない」状況の場合、
「A社から100円支払われる予定だから、これで100円支払ったことにしてよ。」と、B社に受取手形100円分を渡すことで、支払うことができるのです。
その際、手形へ名前や日付を裏書して譲渡するので、「裏書譲渡」と呼ばれます。
※手形の金額と支払額は同額でなくても構いません。
手形の裏書譲渡の仕訳は?
テキストの例題で学習していきましょう。
ゴエモン(株)は、クロキチ(株)から商品100円を仕入れ、代金は先にシロミ(株)から受け取っていた約束手形を裏書譲渡した。
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第13版

ゴエモン(株)が、クロキチ(株)に100円の仕入代金を支払うに当たり、「シロミ(株)から100円支払われる予定だから、これで御社への100円を支払ったことにしてよ。」
ということですね。
借方の記載
借方の記載は単純です。
仕入(費用)100円を記載します。
仕入 100 【貸方】???
貸方の記載
ゴエモン(株)は、先にシロミ(株)からもらっていた「受取手形」100円分を、クロキチ(株)への支払いに使おうとしています。
受取手形100円分という資産を手放すことになりますので、貸方に記載します。
よって、この例題の仕訳は下記のようになります。
(仕入)100 (受取手形)100
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第13版
手形の不渡りとは?
次に、「手形の不渡り」について説明します。
手形の満期日に手形代金が決済されないこと
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第13版
「後から代金を支払う」ための手形なのに、いざその支払日になったら、支払いが行われないという状況を、「手形の不渡り」といいます。
支払う側が財政難に陥ったり、という状況ですね。
手形の不渡りが発生した時の仕訳は?
こちらも、テキストの例題で学習しましょう。
ゴエモン(株)は太助(株)振出の約束手形100円について、満期日に取引銀行を通じて代金の取り立てを依頼したところ、支払いが拒絶された。
そのため、太助(株)に対して債還請求をした。なお、そのさいに債還請求費用10円を現金で支払った。
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第13版

借方の記載
太助(株)が、ゴエモン(株)に100円を支払うつもりで、手形を出していたのに、その100円の支払いが拒絶されたようです。
手形100円分の支払いが拒絶されたことで、100円分の「不渡手形(費用)」が発生しました。
その時点で、下記のような仕訳になります。
不渡手形 100 【貸方】???
そして、ゴエモン(株)は太助(株)に、「払いなさいよ」と「債還請求」を行いました。
この「債還請求」には費用がかかります。その費用10円はとりあえず、ゴエモン(株)側が負担しました。
「払いなさいよ」と請求する、「不渡手形」となった100円分はもちろんのこと、「太助(株)による支払い拒絶(=手形の不渡り)」のせいで発生した債還請求費用10円も、太助(株)に請求することができます。
この、「手形の不渡りのせいで発生した費用」である債還請求費用10円も、「不渡手形」に含むことができるので、今回の「不渡手形」の合計額は「110円」となります。
不渡手形は費用ですので、借方に記載します。
不渡手形 110 【貸方】???
貸方の記載
次に、貸方の記載を考えます。
元々、手形が発行された時、「代金を受け取る側」のゴエモン(株)としては、こんな感じの仕訳をしているはずです。
受取手形 100 売上 100
そして、この100円が正当に支払われるなら、こんな感じに仕訳されるでしょう。
現金 100 受取手形 100
現金などで支払いを受けた代わりに、「受取手形」という資産は減少します。
これが、手形の不渡りにおいても同様で、「不渡手形」として「支払われる予定」がたてられた代わりに、「受取手形」という資産は減少したことになります。
そこで、下記のような仕訳になります。
不渡手形 110 受取手形 100
(貸方にあと10円加算予定)
あと10円分、債還請求費用として支払った分は、現金という資産の減少に当たるので、そのまま貸方に記載します。
というわけで、例題の仕訳は以下のようになります。
(不渡手形)110 (受取手形)100
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第13版
(現金) 10
裏書譲渡した手形の不渡りが発生した場合の仕訳は?
今回の本題です。
裏書譲渡と不渡りが絡んだ場合の手形の処理についてです。
裏書譲渡する時点で、3つの会社が出てくるので、それで不渡手形の処理をするというのがややこしい…。
こちらも、テキストの練習問題で学習していきましょう。
埼玉商会は、群馬物産に裏書譲渡した約束手形20,000円につき、支払人の栃木商事が満期日に支払いを拒絶したため、群馬物産より債還請求費用200円とともに債還請求されたため、延滞利息100円とともに小切手を振り出して支払った。
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第13版

一文が長くて混乱しそうですが、埼玉商会の立場で仕訳します。
貸方の記載
まず、とにもかくにも「小切手を振り出して支払った。」ので、当座預金という資産が減少します。
支払った金額は20,300円ですので、貸方には下記のように記載します。
【借方】??? 当座預金 20,300
借方の記載
「約束手形20,000円につき、支払人の栃木商事が満期日に支払いを拒絶した」
という記述から、「不渡手形」が20,000円分発生したことが分かります。
手形そのものを持っているのは群馬物産ですが、元々の所持者は埼玉商会であり、取引上で不渡手形が発生したことには変わりないためです。
よって、現段階での仕訳は下記のようになります。
不渡手形 20,000 当座預金 20,300
(借方にあと300円加算予定)
残りの処理対象は、「群馬物産から請求されている債還請求費用200円」と、「延滞利息100円」です。
「群馬物産から請求されている債還請求費用200円」というのは、「栃木商事による手形の不渡りのせいで発生した費用」です。
その点においては、群馬物産だけでなく、埼玉商会の立場でも同じことが言えますので、「群馬物産から請求されている債還請求費用200円」は「不渡手形」に含まれることになります。
そのため、現時点での仕訳は下記のようになります。
不渡手形 20,200 当座預金 20,300
(借方にあと100円加算予定)
そして、残りの「延滞利息100円」もやはり、「栃木商事による手形の不渡りのせいで発生した費用」です。
そのため、この延滞利息100円も「不渡手形」に含まれます。
よって、この問題の仕訳は下記のようになります。
不渡手形 20,300 当座預金 20,300
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第13版
まとめ:「手形の不渡りのせいで発生した費用」は不渡手形に含まれる。
今回引用した問題では、単純な「手形の不渡り」だけではなく、「その手形が裏書譲渡されたもの」ということで、3社が絡む複雑なケースでした。
複雑ではありますが、「手形の不渡りのせいで発生した費用」、つまり「手形の代金をちゃんと支払ってくれたら、こんな出費無かったのに!支払人に請求してやる!」という費用は、「不渡手形」に含まれることになります。
意外とシンプルな仕訳になりましたよね。
以上、裏書譲渡した手形の不渡りが発生した場合の仕訳について解説しました。
お読みくださった皆様の不明点が、解消されましたら幸いです。
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